私がニュールンベルクで開催されたアルテンプフレーゲへ2度目の見学に行った時のことです。ヨーロッパで非常に高い評価を受けているにも関わらず、日本では全く普及していない、そんな逸品がありました。詳しく話を聞こうとドイツ人担当者探すと、日本人の先客がいました。
その日本人の話が終わるのを待って担当者に話し掛けると、『申し訳ない。さっきの日本人は★★★会社(誰でも知ってる大企業です)の人で、口約束だけど日
本の市場はすべて任すことになった。後日正式に契約をするけど、日本でうちの商品を売ってくれるのなら★★★を通して下さい』とのこと。
それでは、とさっきの日本人を探すと、あまり時間が経っていなかったのですぐに見つかり『私もとても良い商品だと思いました。弊社の販売ルートで紹介していきたいので、取引条件を教えて下さい』と言うと、ニコニコ笑いながら耳を疑うような一言。
『日本で販売する気は全くありませんよ。』『・・・。えっ?』聞き返すと、『うちが部品を収めているメーカーが同じような商品を開発中で、それが完成する
までにあんな良い商品が売り出されたら困るんですよ。3年間の総代理店契約を結んどいて一切売らないの。そうすると、その間にうちの取引先メーカーの商品
が完成するでしょ。その商品が十分に売れるようになってから、さっきのドイツメーカーには頑張ったけど売れなかったよって言って契約解除するわけ。誰でもやってるよ。』
この会話を録音しているわけでもないので、私が今さら問題提議しても国会のように言った言わないの泥試合になるだけです。
ですが、『うち以外に商品を流すんだったら、うちは一切やらないよ。うちの会社の規模を知ってるでしょ?うち1社にすべて任せなさい。悪いようにしないか
ら・・・。』こんなやり取りがあったようです。ドイツ人担当者は、その日ビッグな商談がまとまったということでとてもハッピーな気持ちでいたでしょう。あ
るいは、増産体制の検討を始めていたかも知れません。
その悪い日本人は★★★会社の海外駐在員とのことでしたが、あるいはその会社の中ではとても高い評価を受けている人かも知れません。競合商品の日本参入を阻止したのですから・・・。
ですがその結果、日本に悪い印象をもつドイツ人が少なくとも一人増えたということと、日本に欧米各国の優れた介護用品が普及するチャンスを奪ってしまったという事実は残ります。同じ日本人として改心を望みます。
1999年3月の出来事ですが、現在のところ日本の企業からそのような商品が発売されている様子はありません。