海外道中記
これでいいの?日本の車椅子
少し真面目な話に戻します。展示会の2日目には、前述のクッシェルさん(ドイツ在住の日本人通訳の人)に同行してもらいました。当社と同じアクショングループのドイツ総代理店との情報交換と、特に優れた商品を展示しているブースでする商談、それに当社が取り扱うドイツ製製品のメーカーとの打ち合わせという3つの通訳をしてもらうためです。


nb-ph-65.jpg最初のアクショングループのドイツ総代理店との情報交換の中で、とても重要な話題がありました。これはアメリカのアクション社とのミーティングでも出た話題ですが、日本の車椅子についてです。
 アメリカのスタッフもドイツのスタッフも日本に来たことがあります。日本の福祉は欧米各国より10年くらい遅れているとはよく言われますが、彼らは来日して介護ショップで売っていたり、町中で使われている車椅子を見るや『確かに遅れている』と納得してしまうのです。
 どういうことでしょう?つまり、彼らの国では搬送用としてしか使われない簡易型車椅子が介護ショップで主力商品として並び、町中でも多くの人がそれを使っていることに驚くのです。


nb-ph-98.jpg簡易型の車椅子の利点は『折り畳みができて軽い』ですが、これは逆に言うと『座布(座面)がたわみ易く、安定感にも欠ける』ということです。例えば釣りやハイキングに行く時などに使う折り畳みの椅子に長時間座りっきりだとどうでしょうか?健常者なら立ち上がって背伸びをすることも足を伸ばすこともできますが、高齢者や障害者の方々はそうもいきません。また、座っている時は寝ている時と違い、体重の大部分をお尻で受けるので床ずれのできる危険性が高くなるのです。
 ですから、欧米では短時間の移動や応急的に簡易型車椅子を使うことはありますが、それとは別に普段は多少高額ですがしっかりした車椅子を利用しているのです。


例えばフットレスト(足乗せ台)やアームレスト(腕乗せ台)の高さ調整ができないと、足や腕の体重を逃がすことができずお尻に圧力が集中してしまいます。座面が大き過ぎると姿勢が左右どちらかに片寄ってしまいますし。小さ過ぎると窮屈で腰骨などに圧力がかかってしまいます。また座布がたわむと、ハンモック現象というものが発生して体の両サイドに圧力が集中してしまうことがありますし、背もたれが低いと背中に体重を逃がすことができないばかりか、使っている人は疲れやすくなります。

 まだまだ簡易型車椅子を日常的に使うことの問題点は他にもたくさんありますが、問題はこのような『シーティング・システム』という正しい座り方の知識の普及が、日本では大幅に遅れているということです。私たちも車椅子用床ずれ防止用具を主力商品として販売していますが、極端に言うと正しい座り方をすれば、床ずれ防止用具を使わなくても床ずれを防ぐことができる人も多いのです。現在、シーティング・システムのマニュアルを作成中で完成すれば無料配布を行ないますが、それに対して『売れ筋である簡易型車椅子の販売に影響が出る』と私たちに圧力を加える企業があります。これが日本の現状です。
 シーティング・システムのことをもっと詳しくお知りになりたい方は、遠慮なくお申し付け下さい。私たちにも意地があります。いつかは圧力をかけてきた企業すべてが間違いを認めて謝ってくれるまで精一杯あがきます。(すいません。書いているうちに一人で熱くなってしまいました・・・)