海外道中記
今に生きる大道芸人たち
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デュッセルドルフでは見かけませんが、ニュールンベルクやケルンでは大道芸人がたくさん活躍しています。大道芸人とは言いましても、剣を呑みこんだりボーリングのピンのようなものをいくつも回すお馴染みの芸もありますが、むしろ楽器を使った演奏者型大道芸人の方が多いようです。ジャズ発祥の地、米国ニューオーリンズでも街角のあちらこちらでトランペットやサックスなどを演奏する大道芸人がいましたが、ここはベートーベンやシューベルトを生んだドイツ、負けてはいません。ドイツの演奏者型大道芸人の特徴としては、単独よりも複数で行なっている方が多いことです。


nb-ph-106.jpg昼間単独で演奏しているのを見かけた芸人さんが夜には2人で演奏していることも珍しくありません。また、身なりから推測するに、必ずしも生活の糧としているのではなさそうな芸人さんが多いのも特徴です。芸術の国、音楽の国としてのドイツを誇りにし、腕前を披露している感じなのです。
 ですから、アメリカの大道芸人はカメラやビデオで撮影しようとすると観客側に紛れ込んでいる相棒がすかさずチップを要求してきますが、ドイツの大道芸人はそんなことが一切ありません。その意味ではチップを払う私たちも、素晴らしい音楽を聴かせてもらったお礼として、強制されることもなく気持ち良くチップを払うのです。

野暮な話ですが、いったいこの人たちはいくら位の"売上"があるのかな、と思って見てみました。すると、平均して3分か4分に一人の観客が300円くらいを"お支払い箱"に入れているようでしたので、時給に換算すると少なく見積もっても5,000円くらいになるのです!ただし、それは演奏にしろ芸にしろ素晴らしいと感じさせることができる芸人さんだけで、ありふれた演奏や芸には観客はソッポを向きます。


 写真の女性4人は、私の拙い英語で聞いた限りではあるオーケストラのメンバーで、同じ練習するなら街頭でと始めたそうです。そのうち、広い音楽ホールで大勢の人の前で演奏するより街頭で少数の人の前で演奏した方が観客の気持ちが伝わるし、何よりごまかしがきかないのである意味ではこちらの方が真剣勝負ということに気付き、4人のスケジュールが合えば決まってここで演奏するとのことでした。演奏がミニオーケストラ並みに上手なのでチップを入れる人は多いものの、4人で分けたら少ないな、などはこの人達にとってはいらぬお節介です。


nb-ph-81.jpgもう一組だけ、数ある大道芸人衆の中でも特に目に付いたコンビをご紹介します。コンビのうちのお一人は昼間に見かけたのですが、小さな犬を肩にのせて年代物のアコーディオンを弾いていました。犬を肩に乗せているだけでも十分に目立ちますが、その演奏もピカイチでした。増田と夕食を終えてホテルに帰る途中に、夜も更けたので大道芸人が少なくなったせいもありますが、ひときわ陽気な音楽が道草に誘います。その演奏者が犬を連れたアコーディオンおじさんとバイオリンおじいさんでした。



nb-ph-82.jpg私たちが日本人だと知ったからか、私たちでも知っている曲を何曲も演奏してくれ、ついつい20分30分と夢中になって聴き入ってしまいました。このお二人はドイツ語しか話せませんでしたが、幸運にもドイツに30年以上住んでいる日本人ご夫婦がいて通訳をしてくれました。おじいさんの方は音楽大学の教授をしていたそうです。どうりでアコーディオンおじさんに負けず劣らず上手なはずで、定年退職後もこうして音楽と関わって余生を最高に楽しんでいるとも言っていました。私も上手に年をとりたいものです。
 このお二人の演奏がどれほど陽気かは、道行く上品な老夫婦がワルツを踊り出したと言えば皆さんにもお分かりいただけると思います。私も連れ合いが増田ではなく、貴婦人だったら踊り出すところでした。(笑)


nb-ph-673.jpgちなみに、ミニオーケストラ4人組みと音大おじいさんは、過去数年いつ行っても見かけますし、最近では1年に1回の出会いなのですが私のことを覚えてくれたようです。日本人、と言うより東洋人が珍しいからでしょう。
アコーディオンおじさんはいたりいなかったりで、いない時は音大おじいさんは別の人とコンビを組んでいます。(ちゃっかり者です)