海外道中記
海外の商取引ってこんなに難しいんです!
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例えば、その商品が電気を必要とする物であった場合は、日本と外国では電圧やコンセントの口が違いますので日本用に改良してもらうかアダプターを手配する必要があります。しかし、いずれにしても国内で安全基準の申請をしなければならず、これが申請だけでも最低40万円くらいかかるのです。おまけに回路図なんかも必要で、海外のメーカーによっては企業秘密とやらですんなりと出してくれないこともあります。また、日本用に改良してくれるとしたら、当然その費用を要求されたり最小ロット(1回の最少発注数量)を設定されたりします。つまりその分、初期費用がかかるので結果的には定価が高くなってしまうのです。輸入コストなどをざっくりと計算して初期費用を加えたものが予想原価になりますが、これを基にした予定定価が今ある同等商品と比べてあまりに高いようでは、新商品として成功しないので諦めなくてはいけません。


nb-ph-109.jpg次に色々な権利的な問題があります。名前ひとつとっても商標というものがあり、例えば海外で『アクションベッド』という商品があったとして日本でその名前で売ろうとすると、当然『アクションパッド』で商標登録している当社が『類似する商標を使用した』と抗議をします。そうすると、後から類似する名前を使った会社は全カタログを回収しなければなりませんし、場合によっては賠償責任が生じてしまいます。この一つの商品の商標を登録するだけでも数十万円が必要ですし、その前に類似商標が存在しないかどうかを調べなくてはいけません。他にも機械の構造やアイデア、デザインなどにも特許があり、それらをすべて調べてどこにも抵触しないことを確認しなければなりません。大企業ですとそういった問題を専門に行なう『法務部』が存在しますが、ほとんどの中小企業は専門家に委託します。


最後に商品が日本人向けかどうかという問題もあります。例えば欧米人向けに作られた車椅子は、当然日本人にはサイズ的に大き過ぎます。これでは体が左右どちらかに片寄ったりするなど悪い点が多い車椅子ということになってしまいます。床ずれ防止用具にしても平均体重の重い欧米人向けの商品は、日本人にとって反撥性が強かったり、体重調整をする時に微調整ができなかったりと問題点が多くあります。新規参入してきた企業や、配置換えで福祉事業部に転任してきた担当者が最も陥りやすい罠はこの辺りなのです。
 日本の商品にない特長をもっているとか、新しいジャンルの商品と見るや一目散に飛びつきますが、実際に輸入してお客様の声をお聞きして始めて問題点に気付いても後の祭り・・・。輸入総代理店契約を締結してしまっているので、売れなかったとしても決められた数量を買い取らなくてはならないのです。

 まだまだ輸入や福祉用具に関するノウハウはいっぱいありますが、もしもこれから参入しようとする企業担当者や個人輸入をされようとする方々は、まず国内の既存商品や介護の現場をじっくりと研究し、最低でも上記の点に注意をされた上で海外の商品を選定されることをお勧めします。