私たちがニューオーリンズで、米国アクションプロダクツの開発スタッフと長時間にわたって議論していた内容の一部をご紹介しますと、車椅子用の床ずれ防止用具についてですが、現在、欧米各国では床ずれと座位保持(正しく座った姿勢を継続すること)とは切り離せない問題であると考える研究者が多くいます。例えば如何に優れた床ずれ防止用具を使用しても、腰が前にずれた姿勢ではお尻の脂肪の少ない局所に体重が集中し、床ずれのできる危険性が高くなります。
米国アクションプロダクツは、このような問題を解決するために『車椅子用のパッドは、今までは平状のタイプを主力にしてきたが、これからはお客様の姿勢に合わせて座位保持クッションをオプション商品として提供していく』との基本姿勢を打ち出しました。どのような体型の人でも、どのような状態であっても、正しい姿勢で座れるように数十種類の様々な形状やサイズのクッションで座位保持の補助をするというものですが、この考えには私たちを含めた世界50 カ国に展開するアクションプロダクツグループのすべてが同意しました。また、先行して座位保持クッションのオプション販売を始めた米国では、絶大な支持を受けて急成長しているとのことでした。
ところが問題は、国によって営業員や販売員、看護師、療法士など関係者の床ずれや座位保持に対する知識のレベルなどが違うということです。日本では座位保持という考え方自体がまだ新しい分野で、"正しい座り方"についての専門的な知識はそれほど浸透していません。"正しい姿勢で座れるように数十種類のクッションで補助する"ためには、お客様一人一人についてどのクッションを組み合わせるかを専門知識をもった人が選定しなければなりませんが、そのような人が各都市に何十人、何百人いる米国と違い日本は圧倒的に不足しています。
数日程度の研修を受けるだけでは専門的な知識を身に付けることはできず、しかも最低でも数千人という関係者が専門知識を身に付けなければ正しく機能することができません。
この問題の結論として、私たちは『100%の方に満足していただくために数十種類のクッションを用意するが、専門知識をもったアドバイザーによる選定が必要である』というアメリカ式を最終目標とするものの、まずは『80%の人に満足していただくために数種類のクッションを用意し、基礎知識さえもったアドバイザーであれば選定できる』ということに取り組んでいくことを決めました。そのために日本人の標準体型に合った座位保持クッションの開発を早急に行なうと同時に、現在無料発行している『正しい床ずれの予防と介護』に加えて座位保持に関するマニュアル書を配布し、販売員や看護師、療法士など関係する方々に基礎知識を吸収していただけるように全力で頑張って参ります。
最後になりますが、床ずれや座位保持についての情報や知識、経験談をおもちの方がいらっしゃいましたら、マニュアル書改正にあたり参考にさせていただきますので、どのようなことでもお教え下さいますようお願い申し上げます。
また、メドトレードは毎年開催都市を移動しており、近年ではニューオーリンズの他にアトランタ、オーランドにて開催されていますが、アトランタとオーランドの情報と、ヨーロッパ最大の福祉機器展が開催されているドイツのニュールンベルグ、デュッセルドルフの道中記とまだまだ続く予定ですが、もしもこれらの都市の展示会見学をお考えの方でお知りになりたいことがございましたら、お気軽にメール等でお問い合わせ下さい。
皆様のご健康とご多幸をお祈りして、あとがきとさせていただきます。